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久々にロッドビルドの記事。
今回も依頼品。
依頼を受けたのが5月3日だから、ざっと3カ月かかって完成です。

その間、ずっと作業をしていたわけではないです。
コロナ禍でパーツの在庫が無かったり納期が遅れたりもあったけど、やっぱり
気分がのらないときは無理に作業をやるべきではない

納得のいく完成度まで持っていくには、それなりの集中力と好奇心と高揚感が必要なのだ。

今回の依頼は、前回の記事でも触れたとおり
とにかく軽くてカッコよくて、反響も良くて潮掴みが分かり易い4.8~5.5フィートのアジングロッド。ちなみに、良く曲がるのが良い

アジングを楽しむ上でロッドに求める要素がてんこ盛りじゃん。
そんなロッド、ボクも欲しい笑。

とにかく軽くてカッコ良くて
ここ、すごく大事なところ。
ビルダーならわかってくれると思うけど、軽さとカッコ良さを両立させるのって、すんごく難しくて色んな葛藤と戦うんですよ。

「ここはこうした方がカッコ良いけど、0.5g重くなるんだよな…」

「ブランクをあと1インチカットすれば目標の軽さになるんだけど、カットすると釣り竿としての面白みがなくなりそうだな…」

「ここを削れば1gくらい軽くなるけど、ロッド質量が軽くなったところでアクション後のダルさが出るなら意味ないな…」

頭が煮詰まって作業を止めることは何回もあった。
やっぱり、依頼品ではあったとしても、ビルダーの考えはどうしても釣り竿に反映しちゃうのよね。

「譲れないもの」が有るのは良いことなのか悪いことなのか…考えさせられるロッドビルドになりました(^-^;

それでは、紹介します。

潮楽X5915シグネチャーモデル Ver.ブランクスルーショートエンドのスペック

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●ブランク
マグナムクラフト X5915 B
※A品が全て欠品中だったため、B品での作成

●ロッドレングス
5フィート3インチ

●ティップ
チタンティップ0.7-1.5 150mm
※埋め込み7mm除く

●ロッドウェイト
33.0g

●ガイドセッティング
7ガイドオールトルザイト(T2)
3-3-3-3-6-8-16

●リールシート
カーボンDPSスケルトンリールシート Ver.blank through

【キャストフィーリング】
バットガイドの大口径リングサイズの恩恵により、糸抜けが気持ち良く飛距離に不満はない。

【操作感】
操作性よりも反響に重きをおいたチタンティップのセッティングだが、0.9gのタングステンで問題無く重潮を探れる。
それ以下のジグヘッドは…使いません使ってません(ノД`)

【反響感度】
どんなロッドでも、アジからのバイトは何らかの反響で伝わってくることがほとんど。
このロッドは、その反響が大きく伝わってくるので楽しさ3倍。
Tさんにも使ってもらってお墨付き。
これはチタンティップサイズの恩恵がでかい。

【パーミング】
ブランクスルー型のDPSスケルトンショートエンドは、母指球より下(手首側)への収まりが良く、フィット感が向上。
キャスト時のスっぽ抜け防止にも役立つ。

【ベンディング】
柔らかいブランクの特性から、アジを掛けたときの気持ち良い曲がりっぷりは、ニヤつく顔をおさえることは不可能。
クールな無表情でこのロッドを使ってほしくないね。
アジを掛けたなら、ニヤニヤしてほしい。
さらには型の良いアジでも柔軟にいなしてくれて、腕の悪いボクでもたいして暴れさせずに寄せてこれる。

他の人が使うとどんな感想になるのかな?

ブランクスルーショートエンド仕様のリールシート

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今回のロッドで特筆すべき点はこのブランクスルーショートエンド。

パイプスルーはもう一般的になりすぎて新鮮味が無いでしょ?
パイプスルーの方がメガホン効果で反響が増大?

じゃあ、このロッドを使ってみてください。
きっと、アジからの「とぅん」を大きく感じてニヤニヤすると思います。

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アジのスカルの上にシグネチャーネームを雑に入れる。

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後方アーバーがチラリと見える。
あ、オシャレなアーバーじゃないからあんまりじっくりと見ないでね(ノД`)

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手のひらの形状を少しだけ考慮して、EVAで形成。
機能性よりは、「ちょっと作るのに手間かけてて、他と違うんだぜ」っていう意味の方が強い(ノД`)

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この各所のちょっとした段差を完全に無くせば、もう少し軽くできるのに…

この雑な感じの筆記体ネームは最近のお気に入り。
ただ、微調整しないと好みな間隔にならないので、フォントだけじゃなくてサイズや間隔など、いじるところがたくさん有りすぎてネーム作るのも楽じゃないよ(ノД`)

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次はフロントフード。
気付いていると思うけど、カーボンパイプとフードスクリュー部の接着面にワインディングチェックを使ってません。

ワインディングチェックを使った方が見た目は引き締まるけど、軽さを出すためにスレッド巻いた上からコーティングした曲線で誤魔化してます。

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フード部のカーボンファイバー柄が見えるのは、太陽光を浴びたときだけ。
この柄の美しさを見れるのは、デイアジンガーのみ許されているのだ。

ナイトアジンガーが見たら、単なる黒いフード(^_^)b

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ほらね、こんなところにもカーボンロービングで装飾してるから重量が増すんだよ(ノД`)

今回は、この「2段ワインディングチェック」の装飾もバージョンアップしていて、つや消しブラックのカーボンパイプの内径に合わせてブラックのワインディングチェック(マタギのHTWC-B)をはめ込み、さらにその内径に合わせたワインディングチェック(ジャストエースのWCA)を少し加工してはめ込んでます。

段差大好きなんで( ´艸`)

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パーミングはこんな感じ。
手の中のフィット感は、パイプスルー型よりもこっちの方が絶対に良い。

トップガイドはKTガイドで

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通常のアジングロッドで使われているトップガイドは、T-LFTTとかT-LFSTとかのパイプガイド。
今回ボクが採用しているのは、ティップガイド用のKTガイド。

ボクの尊敬するビルダーさんがよく使っているので、真似させてもらってます。
違いがわかるほどボクの手感度は敏感じゃないので、他と違うんだぜっていう自己満の世界です(^-^;

だって、先端のKTガイドのスレッド巻き、結構手間かかるんだぜ?

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チタンティップのベースは、1.5-0.7。
反響とベンディングカーブを重視するなら1.5の一択。

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ロッドを振ったときの抵抗を少しでも軽減できるように、すべてのガイドフットは短くカットしておまじない<(_ _)>

フォントはリールに合わせて

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このロッドに合わせるリールは、19ヴァンキッシュ。
だからブラックとガンメタベースの配色だけど、基本的にはどんなカラーのリールにも合わせやすいカラーリング。

ただ、ネームのフォントはヴァンキッシュのロゴのフォントに似たものを探して採用してみた。

フォントの探し方について…
今度記事にでもしてみようかしら。

ビルドを終えて

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最初は、30g切ってやるって鼻息荒くしていたけど…
今のボクには無理です。

ビジュアルは絶対に捨てたくないし、短すぎて面白味のないロッドなんて作りたくない。
ホントは5.5フィート以上は欲しいくらいだ。

でも、コレはボクのロッドじゃないから、依頼者の意向を全部受け入れなくちゃいけない。
でも、ボクのこだわりが邪魔をする。

やっぱり人様のロッドを作るのは難しい。
自分のこだわりが強くなるほど、人様のロッドを作ることが難しくなってきていると感じたロッドビルドでした。
依頼主の要望の先に有るものをしっかりと理解しながら作らないとね。

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あっ、ちなみに依頼者のわがままボーイは、相変わらず釣りバカイケメン、ダイスケくんでした(^_^)b
最近アジングの頻度減ってない?笑

それでは、素敵なFishing Lifeを!